解析力学 <<<戻る
2018年 担当、後藤貴行 春学期・木曜2限 2−406
何を学ぶか |
これまで学んだニュートン運動方程式を使えば、微分方程式(=数学)さえ出来れば、ロボットでもスペースシャトルでも回転寿司の回る台でも、日常におけるすべての運動の問題が解けます。しかし、現代社会においてニュートン力学を適用出来ないケースが三つ存在します。それは、
粒子の速度がとてつもなく速い場合
の場合です。現代社会を支える、金属(超伝導体を含む)、半導体の中の電子は1と2にあてはまりますし、光通信やレーザーに登場する光子は2と3です。光を操作したり検知するデバイスを作るには1-3の全てが必要です。それから、未だに殆ど解明されていない現象の代表例として、摩擦があります。表面がつるつるしていれば良いかと言うとそうではなく、原子レベルで平坦な金属を貼り合わせると滑るどころかくっついて離れません。これを理解するのにも1と2が必要です。
実は、1と2を理解するための科目は、「統計力学」と、「量子力学」と言って、これから先、どんどん習って行くわけですが、その準備をするための講義が解析力学です。
※ 3は「相対論」です。残念ながら、本講義では深く取り扱うことはしません。
講義進捗状況 |
※MOODLEにレポート問題をアップロード。やってみてね。質問も受け付け中。
〔4/12〕 変分法。二点間を最短距離で結ぶ「曲線」を求める。
〔4/19〕 ラグランジュの未定乗数法。束縛条件のついた極値問題。変分にも微分にも使う。
〔4/26〕 最小作用の原理。この世の運動は作用積分∫Ldt が最小になるように起こる。
〔5/10〕 オイラーラグランジュ方程式は変数変換しても同じ形。
〔5/17〕 対称性と保存量、運動量が保存するのはどんな場合?
〔5/24〕 回転・パリティ対称性。ミュオンのスピン偏極、神は左利きだった?
〔5/31〕 トルク方程式と磁場中スピンの歳差運動
〔6/07〕 ルジャンドル変換(熱力学にも使える!)でハミルトニアンへ。量子力学のハミルトニアン。
〔6/14〕 複数の質点の振動、質点を細かくして波動方程式へ
〔6/21〕 正準変換で座標と運動量を混ぜよう、母関数なら簡単
〔6/28〕 母関数のルジャンドル変換で無限小変換を作る。ハミルトニアンは時間推進。
〔7/05〕 位相空間、リウヴィユ(リウビル)の定理
〔7/12〕 等重率の原理、エントロピーの定義、ポワンカレの再帰定理
〔7/19〕 試験(無事終了) 今年度から断熱不変量を取り上げない代わりに微小変換をやることに。
試験 |
※2018年度の試験問題(満点二名)
※2017年度の試験問題(満点二名)
※2014の過去問(1、2、3、問題流出により三回実施するはめに、、、)、2013年の過去問、2012年の過去問。
(その他の年度の過去問は、「講義・学生実験、試験問題、Q&A集など
(1998年度〜現在)〜上智大学学生専用のページへ」
で、講義名「解析力学」や「機能創造理工学U」を検索して見て下さい。)
※通常の予想問題
ラグランジアンとハミルトニアン、位相空間、断熱不変量、座標変換、対称性、保存量、正準変換、etc.
いわゆる力学(=機械工学的な)の問題は出ません。